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来年「100円間違いなく切る」

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ブルームバーグ):「ドル・円は運命的に下がる」-。1995年の超円高や

2012年のドル・円相場の大底を予想した若林栄四氏(72)は、日本銀行

による大規模緩和がもたらした「とんでもない円安」が反転し、来年は1ド

ル=100円を割り込む円高になるとみている。

若林氏は先月25日のインタビューで、日銀の量的・質的金融緩和は導入

から2年余りがたち、量的緩和(QE)という行為そのものがアナウンスメン

ト効果で資産価格に影響を与えているだけで、実体経済には「やはり何の

効果もなかったことがはっきりしてきた」と指摘。これからは「円高になるし、

株安になるし、黒田バズーカでやったことは全部裏返ってくる」と語った。

同氏はニューヨークを活動の拠点に、日本で投資情報サービス会社ワカ

バヤシ・エフエックス・アソシエイツの代表取締役を務める。

円は2011年10月末に対ドルで75円35銭を付け、1995年4月に付けた79

円75銭の戦後最高値を更新した。翌2012年後半には下落に転じ、今年

6月には125円86銭と13年ぶりの安値を記録。日経平均株価は同月に終

値で2万868円とITバブル時の2000年4月に付けた高値を15年ぶりに塗り

替えた。

日柄や黄金分割を用いたチャート分析に基づく大局的な相場分析および

予測で知られる若林氏は、「私はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条

件)というのは関係ないと思っているが、ファンダメンタルズ的にみてもと

んでもない円安をやってしまった」と指摘。

ドル・円は来年「100円は間違いなく切るだろう」と話した。

世界的にはQEの資産価格押し上げが限界に達し、リーマンショックから

始まったデフレが深刻化すると予想。

米国は「大デフレ」になり、日本も「世界デフレの強烈な一波」に巻き込ま

れるが、日本は基本的に長期デフレを脱却しているため、「暴落」は来年

いっぱいぐらいで終わり、日経平均株価は「1万円は切らないと思う」と語

った。

若林氏は、「世界デフレの中で、自分はもうこれ以上デフレにならないとい

うのは最高の状態。例えば円高になれば原油安でものすごいメリットを受

けるとか、これからデフレになる人たちとはちょっと意味合いが違う」と指摘。

「世界中がデフレでdeath of equity(株式の死)になると、どこへ投資し

ていいか分からない。何も投資するものがない。そしたら日本株だ」と語っ

た。

若林氏は1966年に入行した東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)で、シンガ

ポール支店為替課長、本店為替資金部課長、ニューヨーク支店為替次長

を歴任し、87年から96年まで当時の勧角証券(アメリカ)の執行副社長を務

めた。

東銀時代には、そのアグレッシブなトレーディングスタイルから「マッド・ドッ

グ(狂犬)」との異名を取った。

若林氏は、ドルが2008年から上がり続けているのは「日本のデフレ円高と

同じ」米国がデフレだからで、「ドル高でものすごく首が締まっているにもか

かわらず、ここでさらに金利を上げようとするFRBの意図はどこにあるのか」

と指摘。「本当に分かっていないのか。それともメンツのために1回は上げ

て、その結果めちゃめちゃになってもいいということなのか」と語った。

米金融当局者の中にはNAIRU(インフレ加速を伴わない失業率)への「恐

怖心理」があるとし、「インフレ時代のロジックをデフレ時代に当てはめて、

失業率が5%以下になったらインフレが走りますという恐怖を持っている。

その大局観のなさがちょろいと言っている」と話した。その上で、世界がデ

フレなのに本当に米国が利上げすれば、「滑稽だけでは済まされず、harm

ful(有害)と言わざるを得ない」と主張。

「あえて言えば、それをやらせないために株が暴落しているということだろ

う」と語った。

世界デフレが本格化する中で、若林氏はこれからは「ディスインベストメン

ト(非投資)の時代」になるとみている。

「米国もデフレになって最後に来るのはドル安政策。だから金は暴騰する」

と指摘。「今は中国に文句をつけたりしているので言えないが、今度自分の

身に火の粉が降りかかってきたら、米国はなりふりかまわずドル安だろう」と

言い、ユーロは暴落した後に、米国の「猛烈なドル安政策」で暴騰すると予想した。